認知症のひとつピック病の患者が万引を繰り返すのはなぜ?

公開日: 更新日:

 ピック病の方が「万引」を繰り返して店側とトラブルになるケースがあります。ピック病は前頭側頭型認知症のひとつで、理性や衝動性を抑える前頭葉眼窩面が障害されるので、発症後にモラルに反した行動が繰り返されるようになります。平均発症年齢は40~60代と、他の認知症よりも若年で発症するので、万引した際にクレプトマニア(窃盗症)と勘違いされるケースも少なくありません。

 アルツハイマー型認知症の方の場合は、記憶力の低下から商品の支払いをしたか忘れて店を後にするパターンが一般的です。ただ、脳は幅広いネットワークを有するので、間接的に眼窩面も障害されるとピック病と同じくモラルに反した行動がみられる場合もあります。

 ピック病の人が万引をする際、周囲を警戒せずに堂々と行う特徴があります。本人は世間一般的に万引が悪い行為であると認識していますが、脱抑制から自分自身の欲求を抑えられず、欲しい物があれば構わず持ち帰ろうとします。本能の赴くまま行動するのがピック病の特徴なので、いくら犯罪だと分かっていても前頭葉の障害により自分が欲しいと思った物をなぜ持ち帰ったらいけないのか理解できないのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘