著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

現在、日本で承認されている認知症の治療薬は3種類ある

公開日: 更新日:

 次に「N-Methyl-D-Aspartate(NMDA)受容体拮抗薬」が登場します。認知症などで脳に器質的な障害が起こると脳内のグルタミン酸(アミノ酸の一種)の量が過剰となります。本来、グルタミン酸は神経伝達物質として必要なものなのですが、それが過剰になると神経には毒となってしまい、結果的に認知機能に悪影響を及ぼすと考えられています。NMDA受容体拮抗薬は、こうした過剰なグルタミン酸による神経細胞死を抑制することで、認知症に対して効果を発揮するとされています。剤形は錠剤です。

 適応症は「中等度~高度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」となっており、コリンエステラーゼ阻害薬とは少し違っています。なお、コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体拮抗薬は併用することが可能で、それによってより高い効果が期待できる場合もあります。

 そして最近、新たなクスリが登場しました。注射薬で、アルツハイマー型認知症を引き起こすとされる物質の中で最も神経毒性が強い物質に選択的に結合し、それを脳内から除去することで認知症症状の進行を抑制します。適応症はコリンエステラーゼ阻害薬と同じですが、これまでにない効き方のクスリなので、その効果に期待したいところです。

 現時点で薬物療法の対象となるのはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症だけですが、いずれも早期に治療を開始することがとても大事です。気になる方は病院を受診しましょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  2. 2

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  3. 3

    国分太一が無期限活動休止へ…理由は重大コンプラ違反か? TV各局に全番組降板申し入れ、株式会社TOKIO解雇も

  4. 4

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題か...大谷の“献身投手復帰”で立場なし

  1. 6

    中学受験で慶応普通部に合格した「マドラス」御曹司・岩田剛典がパフォーマーの道に進むまで

  2. 7

    進次郎農相の化けの皮ズルズルはがれる…“コンバイン発言”で大炎上、これじゃあ7月参院選まで人気持たず

  3. 8

    砂川リチャード抱える巨人のジレンマ…“どうしても”の出血トレードが首絞める

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  5. 10

    「育成」頭打ちの巨人と若手台頭の日本ハムには彼我の差が…評論家・山崎裕之氏がバッサリ