目覚めると激痛が…歌手の市川由紀乃さん卵巣がん手術を振り返る

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手足の指のしびれはまだ残っている

 術後、目覚めたときは、体が何かに包まれていて、ものすごく熱かったことを覚えています。やけどするんじゃないかと思ったくらい。もちろん激痛でした。開腹した傷の痛みではなく、体全部が痛いのです。何度もナースコールをして次から次に痛み止めを入れてもらいました。

 翌日、7~8本の管が体のあちこちにつながっていて、まだ痛みもある中、「病室に移ります。立って点滴棒を持って、自分で歩いてください」と言われて戸惑いました。治療として必要なことなのでしょうけれど、ベッドから起き上がることもできませんでした。

 結局、2人の看護師さんに車いすに乗せていただき病室へ……。「通常はご自身で歩くんですよ」と言われたときには、敗北感というか、自分でやらなければならないことができなかった悔しさがこみ上げました。

 でも、つながれていた管が1本抜けるたびに看護師さんが一緒に喜んでくださって、入院生活は決してつらいことばかりではありませんでした。

 術後1週間で退院し、12月までは3週間に1回、計6回の抗がん剤治療を受けました。副作用は味覚障害や食欲不振、脱毛など。もう髪は少しずつ生えてきましたけど、手足の指のしびれはまだ残っています。ただ、先生に「必ず取れるから大丈夫」と言われているので安心していますし、実際に指先の感覚の戻り具合で、抗がん剤が体から抜けていっていることを実感しています。

 健康でいられることがどれだけありがたいことか、今回の経験で身に染みました。あと、ありがたいといえば、先輩や仲間からの寄せ書き、ファンの方々のお手紙やお守り、千羽鶴などが本当に力になりました。

 忘れられないのは、治療中、由紀さんにいただいた言葉です。私が「もう一度、歌える日がきたときには、またご指導お願いします」と弱音交じりのメールを送ったとき、「もう一度歌うためにあなたは今この苦しみに耐えているのよ。だから、もう一度歌える日がきたらじゃなくて、必ず歌うの!」と返信してくださったこと。何度も読んで泣きました。

(聞き手=松永詠美子)

市川由紀乃(いちかわ・ゆきの) 1976年、埼玉県生まれ。93年に「おんなの祭り」でデビュー。2016年、17年と2年連続で「NHK紅白歌合戦」に出場した。19年には「第61回輝く!日本レコード大賞」の「最優秀歌唱賞」を受賞する。5月19日の埼玉県「サンシティ越谷市民ホール」をはじめ、3カ所で復帰単独コンサートを開催予定。新曲「朧」が5月20日に発売される。

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