認知症予防効果も…帯状疱疹ワクチンは3つのリスクを軽減させる
ほかにも、帯状疱疹ワクチンが認知症リスクを低下させるという研究はいくつも報告されています。とりわけ、2025年に発表された5つのコホート研究を含めたメタアナリシス=これまで発表された質の高い研究をまとめて総合的に解析する方法では、帯状疱疹ワクチンの接種が認知症リスクを29%低下させることが示され、公衆衛生において重要な結果だと評価されているのです。
なぜ、帯状疱疹ワクチンの接種が認知症リスクを低下させるのかについては、まだはっきりわかっていませんが、いくつか有力な見解が唱えられています。
帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスはヘルペスウイルスの一種で、ヘルペスウイルスは神経細胞に潜伏し、免疫力の低下などがあると再活性化して脳の中で神経炎症を起こすことがあります。その慢性的な炎症がアルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβという異常タンパク質を増やすと考えられています。
また、帯状疱疹ワクチンの接種によって免疫システムの強化が全体的に誘発され、アミロイドβの蓄積を防ぐなど認知症の発症を抑制する効果を発揮しているという見解もあります。