著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

認知症予防効果も…帯状疱疹ワクチンは3つのリスクを軽減させる

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 ほかにも、帯状疱疹ワクチン認知症リスクを低下させるという研究はいくつも報告されています。とりわけ、2025年に発表された5つのコホート研究を含めたメタアナリシス=これまで発表された質の高い研究をまとめて総合的に解析する方法では、帯状疱疹ワクチンの接種が認知症リスクを29%低下させることが示され、公衆衛生において重要な結果だと評価されているのです。

 なぜ、帯状疱疹ワクチンの接種が認知症リスクを低下させるのかについては、まだはっきりわかっていませんが、いくつか有力な見解が唱えられています。

 帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスはヘルペスウイルスの一種で、ヘルペスウイルスは神経細胞に潜伏し、免疫力の低下などがあると再活性化して脳の中で神経炎症を起こすことがあります。その慢性的な炎症がアルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβという異常タンパク質を増やすと考えられています。

 また、帯状疱疹ワクチンの接種によって免疫システムの強化が全体的に誘発され、アミロイドβの蓄積を防ぐなど認知症の発症を抑制する効果を発揮しているという見解もあります。

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