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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

末期がんで余命わずかの65歳男性…緩和ケア病棟か自宅療養か

公開日: 更新日:

 切迫した様子が伝わり、少しでも安心していただければと、その日のうちにご自宅を訪問することにしました。

「外来受診時に余命についてお話はありましたか?」(私)

「それが聞けなかったんですよね……。私は退院時に『あと1カ月くらい』と聞いて、もう1カ月たつので、残りもそれくらいなのかなと」(娘)

「緩和ケア病棟の申し込みはどうなりましたか?」(私)

「病院の先生に『申し込みは不要。体調が悪化したらいつでも受け入れるから、そのときに入院してから申し込めばいい』と言われました」(娘)

「なるほど。体調が悪化した際は入院する方向でよいでしょうか?」(私)

「そこが家族の間でも意見が分かれていて……。母は『できれば最期まで自宅で過ごさせてあげたい』と話していました」(娘)

「わかりました。その点は改めてご家族とお話しさせてください。まずは患者さんの診察をしましょう」(私)

 在宅医療では、日々患者さんやご家族と向き合い、病状の変化に応じて苦痛を和らげたり、医療方針を一緒に考えたりします。揺れる家族の気持ちを受け止め、限られた時間の中で最善の道をともに探っていくことも、在宅医療の大切な役割です。

【連載】老親・家族 在宅での看取り方

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