「これが寝るってことだ」と感激…女優の岡崎友紀さん変形性股関節症との苦闘

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“真ん中”に打てる普通のゴルファーになれた

 その後も痛みはなく、手術の翌日からリハビリでした。車イスの乗り降りから始まって歩行器になり、ステッキ1本で歩ける状態になったら退院です。右脚は9日間、左脚は7日間で退院できました。先生に褒められるくらい回復が早かったんですよ。

 じつは右脚と左脚とで、手術を受けた病院が違います。人気の先生なので、あちこちの病院で診ていらっしゃるんです。だから術式もちょっと違うし、人工股関節の部品も左右で微妙に違うんですって(笑)。

 入院中はコロナ禍で面会が禁止されていましたから差し入れもなく、とても暇でした。だからパソコンでYouTube配信をしていました。きっと、私のように怖いと思って手術に踏み切れない人がたくさんいると思ったので、そういう人の参考になるといいなと。もちろん、個人によって体力も状態も違うので参考にならない人もいると思いますけど、「勇気をもらった」とか「安心した」というコメントをたくさんいただいて、中には手術を決めた人もいたようです。

 おかげさまで、いまはすごく速く、歩けるようになってしまいました(笑)。先生からは「くれぐれも転ばないように」と言われています。でもおっちょこちょいなので、つい速足になってつまずきそうになる。そのたびに“ゆっくり”を意識しています。

 あと、先生に注意されたのは「ゴルフではロストボールを取りに行っちゃいけません」ということ。傾斜のあるラフは危険だからです。

 ゴルフは長年の趣味なので、股関節が痛くなってからもよく行っていました。

 クラブを振ることはできるのですが、歩けないので移動はすべてカート。ティーショットでフェアウエーの真ん中にボールが乗ってしまうと、たくさん歩かなければならないのでショックでした(笑)。できるだけカートの道の近いところへ打つのが私のベストショットだったのです。でも、いま真ん中に打てる普通のゴルファーになりました。歩くのが楽しくて仕方ありません。

 学んだことは「お医者さまはえらい」ということです。ありがたいものだと思いました。ずっと怖がって嫌がって、失礼なことをしたと反省しています。

 ただ、もっと早く手術すればよかったとは言い切れません。人工股関節には耐久年数があって、かつては10年と言われていたのですが、いまは30年になったそうです。私が耐久年数を迎えるのは100歳くらい。医療の進歩と私の年齢がとてもいいタイミングだったのです。

 もうひとついいことがありました。股関節は年齢とともに少し潰れるでしょう? それが新品の股関節に交換すると、回復するのです。だから私、この年になって背が2センチ伸びたのです! もう、うれしいったらありゃしません。 (聞き手=松永詠美子)

▽岡崎友紀(おかざき・ゆき)1953年、東京都出身。4歳からモダンバレエを習い、61年に舞台デビュー。70年から「おくさまは18歳」や「なんたって18歳!」(ともにTBS系)など、数々のヒットドラマで主演を務めた。その後は舞台を中心に活動し、振り付けや脚本・演出も担当。自然環境保護や動物愛護活動にも力を入れている。

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