著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

(2)全額自己負担で処方薬の2.5倍~3倍の負担となる場合も

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 一方、市販のアレグラ(60ミリグラム)の大箱(56錠入り)は、実勢価格が2500~3500円。大人は1日2錠服用ですから、8週間分で大箱2個、5000~7000円です。

 これだけを見れば、処方薬がかなり「お得」です。ただし、処方薬を希望して医療機関を受診した際にアレルギー検査も受ければ、その金額も上乗せされます。さらには予約・通院の手間や、交通費なども考慮する必要があります。予約なしのクリニックでは、待ち時間もバカになりません。これらのコストを考慮すると、どちらが得かは難しいところです。

 忙しいビジネスパーソンのなかには、ドラッグストアで済ませてしまおうと思う人も多いでしょう。一方、時間のある高齢者は都合のいい時間帯に受診できる近くの医療機関の方を選ぶでしょう。ただ、脚力が衰えた高齢者はタクシーで通院というケースもあるかもしれません。あるいは、「せっかく来た患者さんに、いますぐに必要であるとはいえない検査を付け加えることで患者数減少分を穴埋めしたい」と考える医療機関があったとしても不思議ではありません。

 結局、国は国が支払う薬代を減らすために軽度の病気は自己負担で治すことを求め、「強い日本」をつくるための財源づくりにいそしみたいのです。 =つづく

(永田宏/長浜バイオ大学元教授、医事評論家)

【連載】スイッチOTC薬との向き合い方

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