抗がん剤治療では「骨髄抑制」の副作用が起こる可能性がある
赤血球が減少すると貧血になり、血小板が減少すると出血したときに血が止まりにくくなります。白血球が減少すると普段はかからないような感染症になったり、感染症になったときに治りにくくなります。がん化学療法を行う前には必ず血液検査を行いますが、それは骨髄抑制が起こっていないかを確認することも目的としています。万が一、骨髄抑制が起こった状態でがん化学療法をしてしまうと、白血球が極端に少なくなって、最悪の場合、命の危険もあるからです。
骨髄抑制が起こったとき、赤血球や血小板が減少すると、症状で「なんとなくおかしい」と自覚できますが、白血球の場合はそうはいきません。感染しない限りは白血球が減少しても自覚症状がないのです。そのため、殺細胞作用を有する抗がん剤を使用するがん化学療法を行う際には、白血球が減少したとしても感染のリスクを最小限にするためにうがいや手洗いといった感染予防について必ず指導しています。一応、骨髄抑制で減少した白血球を増やすクスリもありますが、その白血球は機能的に未熟なため、やはり感染予防は極めて重要になります。
白血病の治療では、骨髄抑制をあえて起こすことで、がん化した白血球を死滅させます。この場合、クスリで白血球をほぼゼロにしなければならないため、無菌室で治療が行われます。



















