肺がんの「ROS1融合遺伝子」陽性に新薬登場…着目すべき3つの強みとは? 専門医が解説

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 中央値は、「無増悪生存期間を長い順に並べた時にちょうど真ん中にあたる期間」のことなので、ステージ4の肺がんであっても、悪くならないまま、6年、7年、8年と過ごすことも期待できる。

「2つ目は、別のROS1阻害薬が効かなくなった患者さんにも、新薬は効果があることです」

 今回の新薬の1年前に承認された薬は、初めてROS1阻害剤を使う群(未治療群)では、がんが縮小もしくは消失したことを示す奏効率は77.8%だったが、別のROS1阻害剤が効かなくなった群(既治療群)では38%。一方、新薬は、未治療群で88.8%、既治療群で55.8%だった。

「そして3つ目は、ROS1阻害薬で見られやすい副作用、浮動性めまいなどの神経に関わる副作用が新薬では比較的少ないことです。これら3つの理由から、今後はROS1融合遺伝子陽性の進行がんには、最初に9月承認の新薬『イブトロジー』が使われることが期待されます。さらに今は、新たなROS1阻害剤の治験が国内外で行われています。新薬でがんの増悪を比較的長く抑えられれば、今後登場するだろう、もっと効果の高い新薬につなぐという希望が見えてくるのです」

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