著者のコラム一覧
酒向正春ねりま健育会病院院長

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

「認知症と共存する暮らし」とはどのようなものなのか

公開日: 更新日:

 つまり、70~90歳で発症する人は50~70歳から脳組織が変性を始めます。ですから、50歳から筋肉増強で認知症予防を開始して、80歳で就労や家事を緩く継続することが最も有効な認知症予防なのです。

 しかし、筋肉増強による効果は認知症の軽症期までです。認知症が中等症以上になると、認知症自体を改善することは難しくなります。物忘れだけだったのが、日々の暮らしに手伝いが必要になり、言語がうまく使えなくなり、尿便失禁、そして、歩けなくなり、嚥下障害が生じます。すると、肺炎で亡くなってしまうのです。この流れを「アルツハイマージャーニー」と言います。発症後、10年くらいかけて進みます。このため、とにかく予防が大切なのです。そして、その道筋はあるのです。

 では、中等症や重症になったら、どうすればいいのでしょうか。認知症患者さんは自分ではどうすることもできず、ただ現状維持を希望されます。その結果、自宅が“ゴミ屋敷”になってしまいます。

■「徘徊が散歩になる」安全で安心な生活環境

 これを避けるいい方法があります。全国にある「地域包括支援センター」に相談するのです。本人やご家族が暮らしたい場所で暮らせるように、医療介護の専門職が認知症による生活の障害を支えてくれることになっています。もちろん、専門職の能力差はあるので、相性のいい担当者にお願いすることが大切です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る