「認知症と共存する暮らし」とはどのようなものなのか
つまり、70~90歳で発症する人は50~70歳から脳組織が変性を始めます。ですから、50歳から筋肉増強で認知症予防を開始して、80歳で就労や家事を緩く継続することが最も有効な認知症予防なのです。
しかし、筋肉増強による効果は認知症の軽症期までです。認知症が中等症以上になると、認知症自体を改善することは難しくなります。物忘れだけだったのが、日々の暮らしに手伝いが必要になり、言語がうまく使えなくなり、尿便失禁、そして、歩けなくなり、嚥下障害が生じます。すると、肺炎で亡くなってしまうのです。この流れを「アルツハイマージャーニー」と言います。発症後、10年くらいかけて進みます。このため、とにかく予防が大切なのです。そして、その道筋はあるのです。
では、中等症や重症になったら、どうすればいいのでしょうか。認知症患者さんは自分ではどうすることもできず、ただ現状維持を希望されます。その結果、自宅が“ゴミ屋敷”になってしまいます。
■「徘徊が散歩になる」安全で安心な生活環境
これを避けるいい方法があります。全国にある「地域包括支援センター」に相談するのです。本人やご家族が暮らしたい場所で暮らせるように、医療介護の専門職が認知症による生活の障害を支えてくれることになっています。もちろん、専門職の能力差はあるので、相性のいい担当者にお願いすることが大切です。


















