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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

ラモス瑠偉さんが闘病を告白…直腸がんの局所進行を防ぐ集学的治療

公開日: 更新日:

 ラモスさんは放射線治療を経て抗がん剤治療に進み、7時間半に及ぶ大手術を受けられました。手術の前に放射線や抗がん剤を行う治療は欧米を中心に研究が進み、TNTと呼ばれます。

 そのメリットは前述した通り①局所再発率を減らし、②腫瘍を縮小。そして③人工肛門を回避して肛門を温存できる可能性の向上です。TNTを受けた方のうち3割ほどはがんが消失。手術をせずに済むこともあるのです。

 ラモスさんは放射線と抗がん剤を別々に行われましたが、同時に行うのが化学放射線療法です。これも2割ほどはがんが完全に消え、手術をせずに経過を観察することができます。世界的にはラモスさんが受けた治療は局所進行直腸がんの主流になっていますが、残念ながら日本では普及が遅れていて、手術に偏る傾向があります。

 ラモスさんは放射線を25回照射されたと報じられました。45~50.4グレイを25~28回照射するのが日本のやり方で、欧米は25グレイを5回が主流です。治療効果は25グレイがややよい報告がありますから、欧米で進む5回照射の方が体の負担なども考えると、楽だと思います。

 ラモスさんは16年に脳梗塞を発症してから人間ドックを欠かさなかったそうですが、コロナ禍で受診が滞り、6年ぶりの受診でがんが見つかったといいます。直腸がんを含む大腸がんは早期なら内視鏡による簡単な切除で9割以上治りますから、早期発見が大切です。

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