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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

歩りえこさんは生涯完治せず…大腸がんのつらい術後後遺症を避ける治療プラン

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 腸を切除すると、術後に癒着が生じ、その影響で腸閉塞になることもあります。こうした術後後遺症は生活の質を損ないますから、手術を受ける前には主治医に相談したり、セカンドオピニオンを取ったりして治療法をしっかりと吟味することが大切です。

 結論からいうと、術後後遺症を避けることはできます。そのための選択肢が術前化学放射線療法と抗がん剤です。化学放射線療法とは、放射線と同時に抗がん剤を行う治療法で、これを単独もしくは、その後の抗がん剤とセットで行うと、3~4割の確率で腫瘍が消失し、その後の手術が不要になります。

 もうひとつは、遺伝子変異の有無をチェックすることです。ミスマッチ修復機能欠損という遺伝子変異があると、免疫チェックポイント阻害剤がとてもよく効き、多くのケースで免疫チェックポイント阻害剤のみで腫瘍が消失することが報告されています。

 そのミスマッチ修復機能欠損の有無を調べる検査は保険適用ですが、検査を受けているのは3割ほど。多くの方は慌てて手術を受けているのが現状です。せっかく術後後遺症を免れるチャンスがあるのに、使っていない方が圧倒的なのはもったいないでしょう。

 大腸がんは今後も増加傾向ですから、術後後遺症を避ける、もっといえば手術そのものを避けられる可能性があることは覚えておいて損はありません。

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