長寿研究のいまを知る 番外編(4)「難聴」は寿命を縮めるのか
「難聴が招く複数の経路が研究されています。ひとつは難聴になると会話が億劫になり、人づきあいが減ることです。その結果、社会的孤立からうつ病やフレイル(虚弱)を招き、全身が衰弱して死亡リスクが高まるという考え方です。2つ目は難聴が認知症の最大リスクとされている点です。認知機能の低下は日常機能低下とつながり、事故やさまざまなトラブルに遭いやすくなるほか、外出も避けるようになって、身体機能が低下していくというものです。3つ目は、聴力は危険察知センサーの役割を担っているため、その低下が転倒や事故に直結するからです」
4つ目は聴力低下そのものが、全身の老化、血管ダメージの早期サインとなっている可能性だ。
内耳は非常に繊細で、微小血管障害や酸化ストレス、慢性炎症といった老化を進める要因の影響を強く受ける。そのため、聴力は老化バイオマーカーとなりうるとの見方もある。
「現時点では、難聴自体が寿命の短縮を直接引き起こすと証明されたわけではありません。したがって、補聴器によって難聴を改善したとしても、それが直接長寿につながるわけではありません。ただ、難聴は老化の早期サインである可能性があり、補聴器で聴力を補うことで、社会参加や認知機能、身体活動など寿命に関わるさまざまな因子が改善し、結果として寿命延長につながる可能性があります」


















