小泉進次郎農相が支援明言も…コメの「高温耐性品種」栽培が日本で進まない事情
■若年層の新規流入が不可欠
高温耐性品種が普及しづらいもうひとつの理由が高齢化だ。
「品種ごとに癖があって、田植えの時期や肥料投入のタイミングが異なるうえ、田んぼが川の近くにあるのか山の近くにあるのかで土壌の成分が違うため、育ち方は変わってきます。長年、ひとつの品種だけを栽培してきた農家が多く、やり方が体にしみついているため、今さら栽培方法を変更するのは手間であるだけでなく、一からきちんとしたコメを栽培するのに多くの時間を要します。1年間の収入を左右するだけに失敗が許されないので、特に高齢の方がやりたがらないのは当然でしょう」(常本泰志氏)
新品種の栽培を促進するには、若い世代の参入が必要不可欠だと常本氏は話す。
「現状、若い農家ほど新品種にチャレンジしていますが、今後、稲作をやりたいと思う若者は意欲があってもお金がないケースがほとんどです。高温耐性品種の普及には基盤整備など効率的に栽培できる環境を整えるだけでなく、政府や自治体による経済的、教育的支援が欠かせません」
小泉農相は「高温耐性品種に単純に予算をつけるだけでなく、営農の指導など、きめ細かく進めていく必要があるという声も伺った。しっかり受け止めて対応しなければいけない」と明言。
コメの安定供給は若年層の新規流入にかかっているのだ。