著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

「伝統」に隠された夏スポーツの矛盾…気候も社会の仕組みも変わったのに“形”だけそのままだ

公開日: 更新日:

「たかだか20キロで給水だなんて。夏なら分かりますよ。みっともねえ」

 言葉にしなくとも顔に出るらしく、机の下でアナウンサーに膝をつねられていた。長距離=精神力=水飲み禁止。そんな碓井さんには反論したことがある。

 野球、陸上、テニスなどの学生競技会は戦前の旧制中学で始まった。いまの高校生と年齢も育ちも違い、栄養満点の富裕層の少年中心に構成されていた。碓井さんたち戦中派も同じで、戦後のGHQの指導下で学制改革が行われたが、引き揚げ者を含め年齢はまちまち。碓井さんもそうだったように、箱根の黄金時代を築いた中大、日大は実業団からの転入選手がほとんどだった。夏の甲子園も頑丈な野郎たちの舞台だったのだ。

 気候だけでなく社会の仕組みが変わっても、スポーツの形だけそのままだ。選手が倒れれば、主催新聞社は「頑張った」と絶賛の嵐で、インターハイのテニスやバドミントンで救急車の出動は当たり前……。季節を変えられないなら、甲子園ではなく京セラドームに移せばいいだろう。残念だが、最高のパフォーマンスを発揮できない環境なのだから仕方がない。

 JOCも陸連も、女性会長を立てて何かを変えようとしているようだ。男たちが変えられなかった伝統を、果たして彼女たちが変えるだろうか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「超ド級国民的アイドル」の熱愛はSnow Manの宮舘涼太!「めめじゃなかった…」ファンの悲喜こもごも

  2. 2

    中道・小川淳也代表“オガジュン構文”の破壊力は期待以上? 代表質問で「暮らしを『支えて』」×5回炸裂

  3. 3

    熊谷真実、熊田曜子…当たり前の常識を知らない芸能人の言動が炎上を誘発

  4. 4

    高市独裁政権に立ちはだかる「新・参院のドン」石井準一幹事長の壁

  5. 5

    【ザ・ベストテン】に沢田研二が出られなかった日は桑田佳祐が出てきた日

  1. 6

    高市首相の大誤算!「私の悲願」と豪語の消費税減税に世論「反対」多数の謎解き

  2. 7

    侍Jリリーフ陣崩壊で揺らぐ屋台骨…現場で高まる「平良海馬を再招集すべき」の声

  3. 8

    国民民主の“お嬢さま候補”が運動員買収容疑で逮捕 自爆招いた強すぎる上昇志向と国政進出への執着心

  4. 9

    中井亜美フィーバーに芸能界オファー殺到…CM億超えも見据える「金のタマゴ」のタレント価値は

  5. 10

    宇多田ヒカルが「蕎麦屋」投稿批判に反論も再炎上 旧ジャニファンの“恨み”とユーザーが見過ごせなかった一言