「思想をよむ、人をよむ、時代をよむ。」石川九楊著

公開日: 更新日:

 明治の政治家、大久保利通の書「為政清明(いせいせいめい)」を、書家の石川は「構築性を失わない飽くなきうねり」と表現する。この「うねり」の書きぶりは、西郷隆盛ら明治維新期の政治家に見られる特徴だという。西郷の「うねり」が永続革命を求めるように横に広がろうとするのに対し、大久保の書は新国家建設指向に対応して秩序を求めて縦に伸びようとする。現在の政治家や市民は「清明」を切実に望んでいるだろうか。

 五・一五事件で暗殺された犬養毅の書「敏於事而慎於言」(事に敏にして言を慎む)は切れ味のよい書きぶりである。最近は言を慎むより本質を隠匿した言葉が氾濫している。

 さまざまな書に表現されたものを書家が読み解く。

(ミネルヴァ書房 2750円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…