認知症の周辺症状を軽減させる「音楽療法」とは何か?

公開日: 更新日:

「キーワードクイズ」などを用いてコミュニケーション

 実際に当カフェで行っている具体的な音楽療法の流れを紹介すると、まず大阪万博のテーマソングとして有名な「世界の国からこんにちは」で日付の確認を行い、歌詞に日付を当てはめて歌唱を行います。音楽療法で用いる曲は、童謡・唱歌やかつて流行した歌謡曲をはじめ、春であれば桜に関連した曲、甲子園の時期であればテーマソング、放送中の朝ドラの主題歌など、参加者の年代やその時季に合った選曲が重要です。

 歌唱だけでなく、音楽に合わせて体を動かすストレッチや歌いながら手話をするなど、運動機能の向上を目的としたプログラムや鑑賞を挟みながら楽しめる内容を意識しています。

 また、「キーワードクイズ」などを用いて、参加者同士のコミュニケーションを促しています。これは歌詞に含まれるキーワードをいくつか提示して、そこから曲名を当てるクイズです。考えているうちに隣の席の参加者同士で会話が弾み、コミュニケーションが増えています。

 認知症を発症すると外出する機会が減り社会的孤立を招きやすくなります。何度も参加して顔見知りができると、認知症と診断されてから自信を失い塞ぎ込みがちだった方でも「〇〇さん、ここに座りなよ」と自ら他の参加者に話しかけたり、毎週参加されている方であれば「〇〇さん今日来ていないけど、どうしたのかしら」など、交友関係が構築されている光景をよく目にします。

 音楽療法はBPSDの改善だけでなく社会性や社交性の再獲得を促し、社会的孤立の解消や予防にもつながるのです。

▽赤塚望(あかつか・のぞみ) 日本音楽療法学会認定音楽療法士。2019年名古屋音楽大学卒業。現在は偕行会城西病院に勤務。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意