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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

俳優の浜畑賢吉さんは81歳で他界…人生100年も可能になる前立腺がんの転移治療

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 そのタイミングを調べる指標になるのがPSAで、血液検査で分かります。このPSAに加え、組織を採取して調べる生検やMRIなどで治療のタイミングをフォローし、まず手術か放射線を行い。再び数値が上昇するとホルモン療法を。それでも数値が上昇すると、再発や転移が疑われ、抗がん剤で叩く3段構えが治療の枠組みです。

 一般にホルモン治療の有効期間は平均3年。その効果が切れると、前立腺がんは骨やリンパ節に転移しやすく、それを叩くことを目的に抗がん剤治療が定着しています。抗がん剤が広がる要因として大きいのが、CTはじめこれまでの画像検査では再発部位が特定しにくいこと。分からないから、全身治療である抗がん剤が選択されるという図式です。

 しかし、保険適用外のPSMA-PET検査なら、再発部位をクリアに描出することが可能。そうすると、5個以内の転移については定位放射線治療が保険適用になっているので、この放射線治療で転移を抑えることができるのです。この意味は大きく、抗がん剤治療を温存できます。

 前立腺がんの薬剤については新薬が相次いで登場。従来の抗がん剤よりかなり効果が高い。放射線治療でうまく転移を抑えながら新薬を温存できれば、今後、前立腺がんは転移があっても、人生100年が夢ではないでしょう。そのためにも、PSMA-PET検査の保険適用が望まれます。

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