著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

末期すい臓がんの58歳男性「まさか自分が延命治療の対象になるとは…」

公開日: 更新日:

 在宅医療を開始するにあたって、80代のお母さまと我々との間で、病状や治療についての状況の確認と情報の共有、これからどのような医療を選択するのかなど説明する機会を設けました。いわゆるIC(インフォームドコンセント)を開催したのです。しかし、そこでは退院時に本人が告げられたものより厳しいお話がされることとなったのでした。

 当初1~3月と伝えられていた予後は、実際には年齢がまだ若いこともあってかがんの進行が速く、一層短くなっていたのです。冷徹な現実は、まだ覚悟を決めかねている本人を置いてきぼりにしたまま、さらに先へと進んでいたのでした。

 ですが食事は口からしっかりと取れ、トイレも自力で行ける、そんなご本人にとって、この進行の速さはまさに青天の霹靂。

 ご本人の自覚は乏しく、とても仕事を行えるほどのADL(日常生活動作)ではないものの、「仕事を続けたい」とお話をされるのでした。

 ですから、もしものことがあった時に心臓マッサージなどの蘇生・延命行為を行うか行わないか、選べることをご本人とお母さまにお伝えした時などは、「まさか自分が……延命を受けるかもしれない状態になっているなんて考えていなかったなあ」と現実を受け入れることに戸惑われておられたご様子でした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  2. 2

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  3. 3

    参政党トンデモ言説「行き過ぎた男女共同参画」はやはり非科学的 専業主婦は「むしろ少子化を加速させる」と識者バッサリ

  4. 4

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  5. 5

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」【全編】

  1. 6

    オレが立浪和義にコンプレックスを抱いた深層…現役時代は一度も食事したことがなかった

  2. 7

    上野樹里“ガン無視動画”にネット騒然! 夫・和田唱との笑顔ツーショットの裏のリアルな夫婦仲

  3. 8

    立浪和義の「白米禁止令」は星野仙一イズムの継承だろう…かつては自身も大目玉を食らっていた

  4. 9

    激太り危機は今や昔…浜崎あゆみ「激ヤセ説」も「連日ケーキ2個」の健啖ぶり

  5. 10

    パックン、長谷川ミラにも批判殺到…「ABEMA」違法外国人問題を巡りフィフィも参戦、海外ルーツのタレントにも分断起きる