(22)今後どれくらいの費用が必要になるのか、見当もつかなかった

公開日: 更新日:

 また、要介護3以上になれば、特別養護老人ホーム(特養)などの施設入所の可能性が出てくる。認定結果次第では、その選択肢が消えてしまうこともあるのだ。

 私は複雑な思いを抱えていた。できることなら、母は要支援の軽い状態であってほしい。ある程度自立して生活できるなら、そのほうがいいに決まっている。

 しかし要介護度が高ければ、利用できるサービスの幅が広がる。母の施設入所が必要だった場合、特養に入ることができれば、金銭的負担が比較的少なく済む。

 ただ、この時点で私は、母の今後にどれほどの費用が必要になるのか、まったく見当がついていなかった。母の入院費についても、1カ月ごとに請求金額を伝え、父が病院に振り込む形をとっていた。しかし、それが実家の家計にどれほどの負担をかけているのかも知らなかった。

 介護認定審査の日程が決まり、私は包括の担当者と母の退院後の方針について話し合った。しかし、認定結果が出るまでは何も決めることができない。幾通りものパターンを考えながら、私はその日をじっと待った。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり