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シェリー めぐみジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。 彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。 専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。 ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。 アメリカのダイバーシティ事情の講演を通じ、日本における課題についても発信している。 オフィシャルサイト:https://genz-nyc.com

コロナ禍で人類の脳が老化…イギリスの研究が世界に波紋を広げている理由

公開日: 更新日:

 コロナ禍で人類の脳が急激に老化、しかもコロナ感染しなかった人にも同じ現象が起きていることがわかり、波紋を呼んでいます。

 これは、イギリスの研究者が2021年から22年にかけて行った研究結果で、学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表されました。

 それによれば、この時期に1000人の脳をスキャンしたところ、以前の測定結果に比べ、5カ月半も早く脳が老化していたことがわかりました。しかも研究者を驚かせたのは、コロナに感染した人にもしなかった人にも、同じ現象が起きていた事です。

 これまでの他の研究では、コロナウイルスがブレインフォグなどを引き起こし、脳の状態を悪化させる可能性があることが示唆されていました。しかし今回は、感染はせずに、単にコロナ禍を経験しただけの参加者も、脳の老化が加速していたことがわかっています。これは、コロナ禍に伴う日常生活の混乱、ストレス、社会的なコミュニケーションや活動の減少などが、脳の健康に強い影響を与えたためと推測されています。

 さらに興味深いのは、その影響がある特定のグループで大きくなっていることです。特に男性、高齢者、健康状態に問題がある人の他、教育水準が低かったり、収入や住宅環境が不安定な人ほど、老化の傾向が強いことがわかったといいます。

 コロナ禍という人類史上稀に見る社会的混乱は、健康な人にさえネガティブな痕跡を残す。それがわかった事は、今後の公衆衛生との向き合い方にもメリットをもたらすと、関係者は期待しています。

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