がんの次世代放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」はここまできた
「特定臨床研究ではBNCTの安全性、有効性が示されたと考えています。そもそも放射線治療後の再発乳がんは外科手術がなかなかできないうえに、線量オーバーとなるため同じ部位に再度の放射線治療も行えません。しかし、BNCTは選択的にがん細胞を破壊するため、過去に放射線を照射した部位にも適用できるという特徴があります」
黒﨑医師は現在、この結果を受けてFDG-PET(がん細胞がブドウ糖を多く消費する性質を利用したPET検査)で光っている腫瘍に対する特定臨床研究を行っているという。
「こちらは10例の予定のところ9例で治療が終わり、おおむね順調に研究は進んでいます。ただし、体の奥底にあるがんに対しては中性子を照射できる距離が短いため、今回の研究の対象外となっています」