(1)長い「弱り始め」をどう過ごすかが大事

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 日本人の健康寿命と平均寿命の差は、男性で約9年、女性では約12年ある。この差の多くは、寝たきりになる直前の期間ではなく、「不自由を抱えながら生活する時間」だ。ピンピンコロリを願っているはずなのに、実際にはピンピンでいられる時間は、意外と少ない。

 関口医師が臨床の現場で繰り返し目にしてきたのも、まさにこの現実だという。

「女性の場合は、体が痛くて動けなくなるという問題が大きいですが、それ以外でも命に関わらない症状ほど、後回しにされやすい傾向にあります。排尿の違和感、尿もれ、下半身の衰え、性の変化。どれも“すぐ死ぬわけではない”から我慢されてしまう。でも、その我慢が生活の質を確実に落としていきます」

 実際、女性泌尿器科外来には「恥ずかしくて」「年のせいだと思って」と、長年我慢を続けてから受診する人が少なくない。男性も同様だ。下半身の不調や性の変化を口に出せず、気づけば外出を控え、人との距離が広がっていく。体の問題は、やがて心や社会生活にも影響を及ぼす。


 ここで問題なのは、「年のせいだから仕方ない」という考え方だ。関口医師は、年齢はきっかけになることはあっても、原因そのものではないと指摘する。年齢を理由に何もしない時間が長引くほど、体の機能は徐々に低下し、後から取り戻すのが難しくなる。

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