(1)シート移植後10年間、視力が維持され副作用もない
この従来の常識を破ったのが高橋医師らのチームが12年前に行った前述のiPS細胞移植でした。手術は成功し、それまでの治療で視力低下が続いていた患者は、移植後10年間、治療なしで視力が維持され、また、特に問題となる副作用もありませんでした。これまで諦めるしかなかった視力が、iPS細胞から作った網膜色素上皮シートの移植によって、維持できることが証明されたのです。
研究チームはその後も9例の移植手術を行い、いずれも大きな副作用がなく、視力の維持がみられたと報告されています。また、10例中2例は従来の常識では考えられないほど目覚ましい視機能改善があったそうです。
着実に進んでいる網膜再生医療ですが、気になるのが費用面です。
最初の治療は患者本人の細胞を使って行う「自家移植」だったため、時間もかかり数億円程度の費用になったそうですが、2例目以降はHLA(ヒト白血球抗原)の型が同じドナーからつくったレディーメードのiPS細胞を利用したため、より効率化されたということです。


















