東芝ライフスタイルが白物家電世界2位メーカー中国「美的」傘下で生まれ変わったこと
次に、美的が持つ強みとして、圧倒的な「生産量」を挙げた。「例えば美的のエアコン生産台数は、日本市場全体の10倍ほどに上る」という。世界の工場と呼ばれる中国企業のスケールメリットは計り知れない。中国メーカーのハイアールも発表会で「コストで負けることはない」と豪語していたが、美的も同じ。会社売却時は、「ブランド」「生産拠点」は悩ましい問題だったが、美的ほどの生産能力があれば新しい力として大いに期待できる。
一方で、連携がスムーズに進まない点もあった。それは「細部」へのこだわりだという。日本市場は、製品のディテールに対する要求が厳しく、良くも悪くも職人技を尊ぶ風潮がある。美的側からは「要求スペックは満たしているのに、なぜ100点を追求しなければならないのか?」と厳しく問われることもあったという。日本市場特有の品質水準であり、市場導入のために必要であることを美的の開発陣に説明し、納得、生産してもらうことに苦労したそうだ。
逆に、東芝になかったものとしては「新技術に対する素早いアプローチ」が挙げられる。例えば、薄型冷蔵庫の開発において、断熱材を薄く的確に配置させる技術が求められるが、美的の開発陣は、より最先端の製品を作るために、IoT(モノのインターネット)技術も積極的に提案してきたという。
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