契約選手が体調不良の時、キャディーはどうするべきか。判断はとても難しいけど…
その日はスタート前の練習時からすごく痛そうで、打つたびに顔をしかめている。それでも「痛い」とは一言もいわない。10番からスタートしたんですが、フェアウエーを歩くときも脇腹をかばうため歩幅が狭く、とても18ホールはプレーできそうにない。僕には痛さの程度はわかりませんが、2ホール目に「もうやめよう」と言って、棄権してもらいました。改めて病院に行ってレントゲンを撮ったら、やっぱり肋骨が2本折れていたそうです。藤野さんは、その後2カ月もツアーから離れました。
最近、改めて当時のことを聞いたとき「梅原さんに言われてやめたけど、頑張って続けていても80切れなかったと思う。疲労骨折は痛み止め飲んで、コルセットをしてたらなんとかプレーできるけど、あの時の痛みはそんなもんではなかったです」と言って笑っていました。
この試合は公式戦ですから、みんなタイトルが欲しい。今年も藤田さいきさんが同じ大会で、体調不良と熱中症でスコアを落としながら申ジエさんとのプレーオフとなり、敗れた直後に力尽きて病院へ救急搬送されました。「公式戦でなければ棄権していた」とコメントしていました。
選手の表情を一番近くで見ているのはキャディーです。体調不良でも無理してプレーを続けたい選手に棄権を促すか、否かの判断はとても難しいです。でも、この試合を最後に引退するわけではありません。最後は選手自身が決めることですが、僕は「先」を考えてなるべくリタイアを勧めます。