「銀座 歴史散歩地図 ─明治・大正・昭和」赤岩州五編著 原田弘・井口悦男監修

公開日: 更新日:

 さらに、落語家の6代目円生がかつて金沢亭の隣には銭湯があったと書き残しており、地図を確かめると確かに「白湯」とある。寺田のエッセーに書かれた寄席の客が寿司の出前をとったと思われる寿司店なども地図の中から探していく。

 読み、眺めるうちに、文章と地図との相乗効果で、当時の銀座の街が立体的に浮かび上がってくるようだ。

 大正12年、関東大震災とその後の火事によって銀座は再び、火に包まれ崩れ落ちてしまう。その1年前に発行された「銀座通り案内」には、震災前の貴重な街並みが記録されている。

 震災から7年後の昭和5年「復興大銀座地図」は、銀座大通りにデパートが次々と出現するなど、生まれ変わった銀座の様子を伝える。震災でさまざまなものが一変。それまで畳敷きで下駄を脱いで上がっていた日本橋三越は、震災後には土足で入れるようになり、お子さまランチの登場もこの年だという。

 そうした風俗の変遷なども紹介しながら、さらに戦争を乗り越え、現在へと続く銀座の移り変わりを詳細にたどる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン