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堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

しんどいと感じたら…プラスになる言葉に変えるだけで耐性がアップする

公開日: 更新日:

 ポジティブマインドを持つことは大事です。

 一方で、「ポジティブに考えよう」と言われても、性格が根暗であれば、無理にポジティブに考えるとストレスになりかねないでしょうし、なんでもかんでもポジティブに考えることもトゥーマッチでしょう。

 ほどよくポジティブな視点を持つ。それこそが、ストレスフリーへの近道になるわけですが、ワシントン大学のダットンとブラウザは、ポジティブマインドに関する興味深い実験(1997年)を行っています。

 まず最初に、被験者に3つの単語を与え、次にこれに関連する4つ目の単語を、被験者に推理してもらうというナゾナゾのようなテストです。その上で実施前に、「自分はどれくらい解けると思うか」「他の被験者と比べて自分の能力はどれくらいだと思うか」といったアンケートを行い、さらにテスト後にも同じように自己評価に関するアンケートを行いました。

 その結果、自己評価が高い人ほど落ち込みにくいことが分かったといいます。ダットンらによると、不正解のときでも自己評価の高かった人は、「この問題は自分と相性が悪かった」という具合に、都合よく解釈したことで落ち込みにくいことが分かったそうです。もちろん、自分を過信するあまり、うぬぼれに陥り、能力に乏しくなるというパターンもあります。しかし、落ち込むか落ち込まないかのみで考えたとき、「自分はできる」と楽観的な人は、物事を都合よく考えられることが示唆されたわけです。

 関連して、次の研究も紹介しましょう。

 南デンマーク大学のヴェグターによって発表された研究(2020年)によると、ポジティブな言葉は「痛み」や「しんどさ」への耐性を強くするというものです。この実験では、被験者を次の3つのグループに分けたといいます。①ポジティブな言葉を使って、実験内容を説明されるグループ②ネガティブな言葉を使って、実験内容を説明されるグループ③中立的な言葉で実験内容を説明されるグループ──。そして、それぞれにスクワットなどの体に負荷のかかる運動をしてもらいました。

 すると、①のグループは大腿筋の耐性が22%アップし、②のグループは耐性が4%ダウンするだけでなく、痛みも強く感じることが判明したといいます。説明する際に使用した言葉がポジティブかネガティブかで、体験する方は気持ちが変わり、体や痛覚にも影響が出てきてしまうのです。

 たしかに、私たちが何かを初めてするとき、インストラクターからポジティブに説明を受けるのと、ネガティブに説明を受けるのとでは、モチベーションが変わると思います。これは決して感覚的なものではなく、実際に結果を左右することにもつながるわけですから、言葉の力というのは侮ることができません。

 もし、あなたが「疲れた」と感じたら、「一生懸命やった」。「難しい」と感じたら、「やりがいがある」というように、都合よく解釈してください。自分にとってプラスになる言葉に変えるだけで、耐性や感覚は変わるのです。

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堀田秀吾著(日刊現代・講談社 900円)

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