(5)なぜ正しい「歯磨き」が脂肪肝を防ぐのか…歯周病が筋肉を脂肪に変える
「歯周病の病巣では、歯周病菌が増殖すると病原体に対する防御反応として炎症性サイトカインという物質が産生されます。病巣では炎症が起こっているので、簡単に血管内に侵入し血流にのって肝臓に到達。肝臓の炎症や線維化に悪影響を及ぼします。また、歯周病菌が腸に到達して腸内細菌の構成と機能を変化させ、腸内のバリアー機能を低下させて内毒素血症を誘発し、非アルコール性脂肪肝の悪化に影響を与えているという報告もあります」
また、血糖コントロールも不安定となり、糖尿病を発症したり悪化させたりする。それは歯茎の毛細血管の機能を低下させ、歯周病にも悪影響を及ぼす。
しかも、2020年公表の研究論文によると、歯周病の原因菌が全身をめぐり、腸内細菌叢を変えることで骨格筋の代謝異常が起こり、「筋肉の脂肪化」を促す可能性があることが示唆されている。歯周病菌により筋肉が“霜降り状態”になり、筋力が低下して肥満になる可能性があるということだ。こうなると運動能力が低下し、代謝不足に陥ることとなり、さらなる筋力低下と肥満化により内臓脂肪が増加するという負のスパイラルを生むことになる。