著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

「カリウム」は心臓の正常な働きに深く関係している

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 植え込み型除細動器(ICD)を装着していて心室性不整脈のリスクが高く、血漿カリウム値が4.3mmol/L以下の患者1200人を対象に、①標準治療+血漿カリウム値の正常高値域(4.5~5.0)までの上昇を目標とした治療を受けるグループ、②標準治療のみを受けるグループに分け、39.6カ月にわたって追跡したところ、血漿カリウム値を正常高値域に維持した患者は、標準治療のみの患者と比較して、心室性不整脈などの複合イベントリスクを約24%有意に低下させることがわかりました。カリウム値を低めに放置せずに適切な範囲に管理する治療は、心室性不整脈リスクが高い患者に対して有効である可能性が示唆されたのです。

 また、25年11月には、米国のオープンアクセスジャーナル「キュアリス」に、「救急心臓治療を受ける患者の半数以上にカリウム異常が認められ、不整脈リスクが約5倍に上昇する」という研究結果が報告されました。

 24年7月から12月にかけて、パキスタンのシェイク・ザイード病院の救急心臓治療部門に急性心臓症状で来院した185人の患者を対象に分析したところ、50.3%にカリウム異常が認められ、31.4%が低カリウム血症、18.9%が高カリウム血症だったといいます。また、全体の42.7%に不整脈が発生し、心室性不整脈は低カリウム血症と有意に関連し、徐脈性不整脈や伝導ブロックは高カリウム血症と関連があったとの結果でした。研究者は「カリウム値のわずかな異常でも心臓の電気生理学的安定性を損ない、重篤な不整脈を引き起こす可能性がある」と指摘しています。

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