医師同士のやりとり…「診療情報提供書」に格調高さはいらない?
先日、手術のご依頼をいただきました。患者のご紹介状、つまり診療情報提供書の差出人は〇〇梓弓! アズサユミ!? アユミと読むのかも知れません。「梓弓」とくれば、高校の時の国語の教科書に載っていた「伊勢物語」(在原業平、900年ごろ)の「梓弓」です。
「むかし男、片田舎に住みけり、……三年来ざりければ……」の、それはそれは悲しい悲しい有名な詩物語です。親はこれを意識して娘にこの名前をつけたのでしょう。
こちらから返書を書く際、「梓弓」先生なので「梓弓」のくだりに出てくる4首の詩から一語、「あらたまの」を「本歌取り」(?)し、さらに、この物語の原型になった万葉集の防人の詩「置きて行かば 妹はま愛し 持ちて行く 梓の弓の 弓束にもがも」(3567)から、「弓束」もお借りして「術後の心臓はあらたまの息吹を吹き返し、梓木の弓束のごとき堅牢さです」などと患者さんの状態を表現しました。
おそらく先方の反応は「なんじゃこりゃ?」。
「わが意は今ぞ 消え果てぬめる」です。



















