出血すると危険だからと…さかもと未明さん「ヌック管水腫」手術を振り返る
ひとつの診断だけを信じないでほしい
そもそもヌック管水腫は、生後1年以内に閉鎖されるはずの管が閉鎖されずに大人になり、少しずつ液体がたまってできる病気。そう言われれば私は生後間もない頃、ヘルニアの疑いで手術する予定だったそうです。
父親が大反対して手術はせず、いつの間にか引っ込んでそれきりでしたが、今思えば、あれはヘルニアではなくヌック管だったのでは。それが時を経て出てきたのかもしれません。
原因として思い当たるのは、仕事先の欧州で荷物が重いのに電車と徒歩であちこち移動したこと。タクシー代の高騰ぶりに驚いて無理をしたせいで、腹圧がかかってしまったのかもしれません。帰国のための長時間フライトも腹圧に追い打ちをかけたとも言えそうです。
手術にあたって先生たちが特に気を付けてくれたのは感染症。私の体は、小さな傷や打撲で血腫や感染が起きやすく、「蜂窩織炎」という細菌感染症に数回なりました。2024年にはちょっと足を台車にぶつけただけで血腫ができ、下肢全体が熱を持ち、皮膚が硬くなって激痛に苦しみました。
でも運び込まれた大学病院の救急外来の医師は膠原病をよく知らないのか、「冷やしてください」と言うだけ。たまらず近所の皮膚科の先生に相談すると、「蜂窩織炎かもしれないので、抗生物質を点滴しなさい」と助言してくださって、夫の処方で抗生物質を点滴したら5分で痛みが消えました。
翌日、普段から通院する大学病院の形成外科に行き、たまった血を抜いてもらって抗生剤を点滴。血行をよくするクリームを処方いただきました。
その先生によると、蜂窩織炎はCRP(炎症の指標)の上昇がひとつの判断材料ですが、ステロイドを大量に服用しているとまれに上昇しないことがあると。救急外来で蜂窩織炎と診断されなかったのはそのためでしょう。
私が長年、たくさんの病気から学んだことは、「ひとつの診断だけを信じないでほしい」ということです。どんな大病院の名医も間違える時はある。セカンド、サードオピニオンを求めるのは大事なことだと思います。また、不安や疑問を正直に伝えることも。
けれど今回のヌック管水腫の治療は最高のスタッフに恵まれて実に快適な入院生活でした。私は精神でも発達障害を抱えているため感情的になりやすく、かつては随分わがままな患者で病院に迷惑をかけました。が、今回は外科手術や麻酔が怖かったこともあり、「礼儀正しくして、感謝を伝えよう」と心がけたんです。
結果、看護師さんや医師のみなさんに、大変親切にしていただき、ホテルにいるように快適でした。自分の態度が、鏡のように自分に返ってくるのが入院や治療なんですね。
(聞き手=松永詠美子)
▽さかもと未明(さかもと・みめい) 1965年、神奈川県出身。社会人を経て、89年に漫画家としてデビュー。レディースコミックのほか、歴史や神話をテーマにした作品を手掛け、政治評論の分野でも活躍。膠原病により手が動かしにくくなり歌手に転向するも、その後長く活動を休止し、2017年に活動を再開。現在は体調と相談しながら歌と絵画を中心にアーティストとして国内外で活躍している。



















