事故による脳損傷で「怒り」が制御不能に…注目される根治療法

公開日: 更新日:

 40代の男性は、20代の交通事故後から怒りが制御できなくなり、一度キレると頭が真っ白になるほど我を失っていた。

 当初は、感情すごろくでも「ワケが分からない」と混乱していたが、練習を重ねる中で「いつもなら激怒する場面で悲しい気持ちを感じられた」「深い感情に気づくことで、不安やエンドレスに繰り返していた自責的な苦悩も減った」と変化し、やがて怒りを感じることがなくなった。

「この方法は、従来のアンガーマネジメントのような生じた怒りを抑える対症療法ではなく、怒りそのものを生じなくさせる根治療法です。つまり、怒りは脳の損傷が直接原因ではなく、脳損傷を抱えて追い詰められたことにより生じた不健全だが正常な心理反応にもかかわらず、それを『脳の器質異常が原因だから治らない』と患者さんは信じこまされてきた可能性すらあるのです」

 現在、宗医師らは並行して在籍する慶応義塾大学、および脳画像研究では国内最高峰とされる放射線医学総合研究所との共同研究を通じて、効果検証や病態解明を進めており、プログラムへの参加希望者を募集している。関心のある方は、東京歯科大学市川総合病院精神科の宗医師に連絡を(通院中の場合、主治医の許可と紹介状が必要)。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」