著者のコラム一覧
永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

(4)新型コロナ以外の国内治験も進みmRNAワクチンが発展する

公開日: 更新日:

 しかしmRNAワクチンの技術は、新型コロナのみに有効というわけではありません。国内外のメーカーが、別の感染症に対するmRNAワクチンの開発に挑んでいます。

 なかには日本国内で治験が進んでいるワクチンもあります。代表的なものは季節性インフルエンザです。新型コロナと抱き合わせて、1回の注射で済むようにしたものが、治験の第Ⅲ相まで進んでいます。ほかにもノロウイルス、サイトメガロウイルス、RSウイルスをターゲットとしたmRNAワクチンの治験が行われています(いずれも第Ⅲ相)。また海外ではHIVに対するワクチンの開発も進められています。

 ノロウイルスは冬の食中毒(胃腸炎)を引き起こすことで知られています。変異が速く、ワクチン開発は無理と言われていただけに、もし成功すれば受験生をはじめ多くの人が恩恵を受けるでしょう。RSウイルスは子供の風邪ウイルスの一種ですが、大人や高齢者にもうつることがあり、体力や免疫力が落ちていると重症化するケースがあります。

 これらの新しいワクチンの治験は、早いものでは2025年中、遅いものでも2027年中に終了し、国の審査を経て、上市されてくるはずです。さらにその後も、新しいmRNAワクチンが続々と開発されてくることでしょう。ワクチン新時代の幕開けです。(つづく)

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