「第二の脳」腸内マイクロバイオータは3歳までに形成される
「英国のサンガー研究所がまとめた研究は、英国内で生まれた596人の乳児(自然分娩児314人、帝王切開児282人)の糞便に含まれるDNAを生後4日、7日、21日に採取して分析したものです。帝王切開児は自然分娩児に比べて母親由来の腸内細菌が少なく、病院環境由来の細菌が多く定着していたと報告されています」
しかし、その違いは時間が経つにつれ減少したという。例外はバクテロイデス属と呼ばれるありふれた細菌で、生後数カ月過ぎても腸内細菌叢にまったく見られないか、見られても通常の6割程度にとどまったという。バクテロイデス属の一部の細菌は宿主の免疫系に影響を与えていることが報告されている。
そのせいか、帝王切開児は自然分娩児に比べてアレルギー、肥満、1型糖尿病などのリスクが高いとの報告もあり、背景に腸内細菌叢形成の差異が関係しているのでは、との見方もある。
また、母乳保育と人工乳保育とで違いが現れることも報告されている。
母乳で育った乳児の腸内細菌叢にはビフィズス菌が優勢になる傾向があり、免疫機能の改善や健康の発達を支えるという。母乳には、ヒトミルクオリゴ糖やラクトフェリンなど、ビフィズス菌の増殖を助ける成分が含まれているからと考えられている。