著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

75歳男性患者の暴言の奥にあった「できなくなること」への苦しみ

公開日: 更新日:

「はい」(息子)

「腹水のことも本人からお話がありました。当院で抜くことも可能なんですが、腹水を抜くとタンパク質も一緒に失われてしまいます。通常、タンパク質が血管内に水分を引き寄せてくれているのですが、病気が進むとその働きが低下するため、単純に抜けばいいとも言えないのです」(私)

 入居後、暴言や暴力は次第に落ち着いてきました。マイナンバーカードの暗証番号を覚えていたり、薬を選り好みしたり、座薬を拒否したりと、自己主張ができるほど意識もはっきりしていました。

 ところがある日、一時外泊で自宅に戻った際、自暴自棄になり「もう死にたい」と言い放ち、息子さんが運転中のキーのかかった車を奪おうとしたのです。

 幸い大事には至りませんでしたが、高齢になると現役のころは当たり前にできていたことができなくなり、強いストレスや焦燥感を覚える方は少なくありません。息子さんは懸命に介護を続けていますが、弱っていく父親を前に深く困惑している様子が伝わってきました。

 衰えゆく患者さんを看取るご家族の気持ちにも寄り添いながら、患者さんが悔いなく過ごせるようQOL(生活の質)の向上を最後まで諦めずに支えていくこと--。それは正解のない問題への答えを探し続ける作業です。しかし私は、それこそが自宅や施設での医療における最も重要な仕事のひとつだと考えています。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩本欽一〈55〉仮死状態で生まれた三男、「視聴率30%と交換してくれ」と星空に願ったら…

  2. 2

    まるで高市首相就任の“ご祝儀”箇所付け…地元奈良の選挙区ばかり交付金「最大6.24倍」増額の仰天

  3. 3

    日本ハム「織田翔希ドラ1強行指名」に現実味 メジャー挑戦を揺るがす制度変更が“付け入る隙”に

  4. 4

    巨人復帰有力の阿部前監督に「補強最前線」の大仕事 標的の床田寛樹は阪神と争奪戦、森下暢仁はメジャー挑戦公言

  5. 5

    日テレ森圭介アナは社労士合格 「news LOG」和久田麻由子アナ、さらなる飛躍を目指せる「資格試験」のススメ

  1. 6

    大谷翔平に“限界説”…米スポーツ誌は「投手断念」と指摘、左膝は2度目の手術の可能性も

  2. 7

    リール上田綺世が「足底筋膜」完全断裂でアジア杯絶望…森保J「1トップ」奪取狙う若手FW3人の名前

  3. 8

    維新・中司宏大臣ついに国会で追及される!「裏金疑惑」証拠音声データ「自分の声だ」認めた

  4. 9

    (1)阿部監督の暴行事件は巨人にとって“渡りに船”だったか…異様に早い「解任判断」の裏側

  5. 10

    声優・講談師の麻上洋子(一龍斎春水)さん 童謡詩人・金子みすゞの伝承イベントをライフワークに

おすすめ求人情報

時給2000円の在宅セールス/週3日・1日5h〜OK「子育て世代が多数活躍中」
circus株式会社 東京都 中央区 アルバイト・パート
時給2,000円~
「幼稚園教諭」正社員/訪問マッサージ・在宅マッサージ/幼稚園教諭専修
習志野台幼稚園 千葉県 船橋市 正社員
月給20万3,500円~32万円
病院在宅診療部門の相談員
医療法人社団桐和会 東京都 江戸川区 正社員
月給26万4,600円~38万2,050円
Sponsored by 求人ボックス