心臓を回復させる遺伝子の研究はデバイス治療に対する“楔”になる
もちろん、それ以外に手だてが見当たらず、生体内で十分に長持ちして機能的にも代替できる安定性のある人工物を使用することは極めて合理的です。代表的なものとして、人工弁や人工血管は進化しながら多くの患者さんの命を救ってきたといえますし、死亡率が下がっていることもたしかです。
ただ、心臓手術で人工物を体内に設置した場合、一定期間は問題なく受け入れられて機能しても、経年劣化により機能が低下していく場合も多く、耐用期間は製品により数年から数十年と開きもあります。また、生体がどこかのタイミングで人工物を“異物”とみなして新たな心疾患を引き起こすことにもつながり、人工物を拒否して排除することによる異常な生体反応や、機能低下による症状の再発などが起きていないかを定期的に観察する必要があります。
このような自己組織以外を排除しようとする免疫機能は異物反応と呼ばれ、そこでさまざまなトラブルが発生し、再手術が必要になるケースも少なくありません。
さらに、こうしたトラブルを減らすため、人工物を入れた患者さんは、術後に抗凝固剤や免疫抑制剤といった薬剤を長期にわたって服用し続けるなど、さまざまな生活制限を強いられることになります。命は助かっても、生活の質=QOLは大幅に低下してしまう場合があるのです。


















