心臓を回復させる遺伝子の研究はデバイス治療に対する“楔”になる
医療用の人工物やデバイスは高額ですから、病院よりもメーカーのほうが儲かります。“職場”である病院の経営にはそれほど貢献しているとはいえず、貿易収支にたとえるとマイナスになっているのです。何より優先すべき患者さんはもちろん、病院にも不利益を与えているといえます。
冒頭で取り上げた心臓を回復させる5つの遺伝子に関する研究は、こうしたデバイス治療優先の流れに一石を投じる可能性があります。急性心筋梗塞で治療を受けて命を取りとめたものの、心筋の壊死により慢性心不全で心機能が低下している患者さんに対し、5つの遺伝子の働きを補う薬剤を投与することで、患者さん自身が持っている心筋を回復させる力を引き出して心機能を改善させるわけですから、一時的に体の中に人工物=インプラントを入れるデバイス治療に比べて、高いQOLを得られる医療といえるからです。単純に患者さんの命を救うだけでなく、患者さんのその後のより良い生活まで考えた“医者の良心”のようなものが含まれている新たな医療の開発になるのです。
医療の現場で人間の患者さんに対して実施できるようになるまでまだ時間がかかるでしょうが、研究のさらなる進展に期待しています。
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