著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

自宅近くはタクシー利用が困難…配車アプリも使いこなせない

公開日: 更新日:

 2型糖尿病は、血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌が不足したり、働きが弱くなることで発症します。多尿や喉の渇き、疲労感に加えて、進行すると視力の低下や手足のしびれが現れ、重症化すると失明や壊疽(手足が腐る)に至ることもある、非常に恐ろしい病気です。

 患者さんの自宅を訪問すると、冷蔵庫はあるものの電子レンジはなく、生活は非常に困窮していました。元気だった頃は、焼きそばなどの簡単な料理を自分で作ることもできたそうですが、食事があまり取れなくなってからは、お酒やたばこに依存するようになり、生活状況は悪化。ADL(日常生活動作)のレベルも決して高いとはいえませんでした。

 それでも、これまでは1キロほど離れた地域のクリニックへ、歩行器を使いながら自力で通っていたそうです。しかし、下痢や嘔吐を繰り返すようになり、体調が急激に悪化。通院が難しくなったため、在宅医療へと切り替わりました。

 なお、タクシーを使わず歩行器で通院していたのは、経済的な理由に加えて、患者さんの住む地域が狭い道路が入り組んだ住宅街で、タクシーをつかまえるのが困難だったからです。今では「ウーバー」や「GO」といったタクシー配車アプリがありますが、高齢者がそれらのアプリを使いこなすのは簡単ではありません。

 このように、徒歩以外の移動手段が限られている地域に暮らす高齢者にとっては、自宅に訪問してくれる在宅医療の重要性がますます高まっていると、あらためて感じました。

【連載】老親・家族 在宅での看取り方

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 3

    長嶋一茂が晒した「長嶋家タブー」の衝撃!ミスターとの“今生の別れ”、妹・三奈との根深い確執も赤裸々

  4. 4

    “Snow Manの頭脳”阿部亮平は都立駒場高校から“独学”で上智大理工学部へ 気象予報士にも合格

  5. 5

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  1. 6

    手ごたえのない演奏を救ったのは山下達郎 弱冠22歳の雄叫びだった

  2. 7

    長嶋茂雄さんは助っ人外国人のセックスの心配もしていた。「何なら紹介してやろうか?」とも

  3. 8

    父の死去で長嶋一茂は“天然キャラ”封印…KY発言に噛みつく「不謹慎警察」のエジキになる恐れ

  4. 9

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  5. 10

    「ルンバ」のアイロボット社に事業継続困難疑惑…代表執行役員社長が舞台裏を説明