感覚器と心臓(1)「緑内障」をきちんと治療することが心臓を守る
■互いに発症リスクをアップさせる
今回は、目=視力の衰えと、「緑内障」について取り上げます。これまで何度かお話ししているように、緑内障は、眼圧が高くなることで視神経が障害されて徐々に視野が狭くなる病気です。痛みや充血といった自覚症状がほとんどないまま視力が低下していき、やがて失明に至ります。日本人の失明原因の第1位で、40歳以上の20人に1人は緑内障があるとのデータも報告されています。
この緑内障と心臓病は密接な関係があるといわれています。高血圧、高血糖、高コレステロールといった生活習慣病は、緑内障と心臓病にとって共通のリスク因子ですし、動脈硬化や血流の悪化は、目にも心臓にも悪影響を及ぼします。
また、心臓血管疾患は緑内障の発症と関係しているという研究報告もあります。三島総合病院眼科の鈴木幸久氏らの研究によると、緑内障の中でも多い開放隅角緑内障の患者581人と、緑内障のない595人をグループに分け、比較して分析したところ、心臓血管疾患がある患者さんでは、緑内障の発症リスクが高いことがわかりました。