感覚器と心臓(1)「緑内障」をきちんと治療することが心臓を守る
高齢者の不意な転倒は、筋力低下がある、平衡感覚が衰えた、隠れ脳梗塞のような病気があるといった状況に加え、感覚器の問題、とりわけ緑内障のような視野が欠ける目の病気がある場合や白内障による視力の低下があっても起こりやすくなります。転倒したことから緑内障が見つかる患者さんもいるのです。また白内障の場合は未治療だと視力低下による転倒を注意しなくてはなりませんが、人工レンズの治療後でもその焦点距離によってはつまずきやすくなることもあるようです。
緑内障は、眼圧を計測すれば病気の有無や進行度合いがわかります。疑わしいと思ったら、専門医を受診して眼圧検査を受けることをおすすめします。
緑内障があった場合は専門的な治療が必要で、一般的には眼圧を下げるβ遮断薬などの点眼薬を使った治療を続けて様子を見ます。そうした点眼薬や、房水の排出を促すレーザー治療などでも眼圧が下がらなかったり、視野狭窄が悪化する場合には、流出路再建術などの特殊な手術が行われるケースもありますが、いずれにせよ定期的に通院して、眼科医の適切な指示を仰ぐことが大切です。