著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

日本では肝臓がんは7割以上が予防可能…ランセットの提言で注目

公開日: 更新日:

 万が一、こうしたウイルスに感染しても、体内から駆除すれば、肝臓がんへの進行を食い止められる可能性が高い。しかもB型についてはワクチンが開発されました。東南アジアはじめ流行地域に出かけるときは、事前のワクチン接種でB型肝炎を予防できます。これらによってB型とC型の肝炎は予防と治療が可能ですから、日本では7割ほどの肝臓がんが予防可能というわけです。

 ほかに飲酒や喫煙、肥満なども、肝臓がんの原因。節酒や禁煙、運動なども行えば、より予防効果が高まります。

 万が一、発がんすると前述の通り難治性ですから、予防する価値はとても大きい。その点で重要なのが、B型とC型の肝炎ウイルス検査です。保健所や指定医療機関で無料で受けられますが、働く世代には十分行われていないのが問題です。職域での肝炎検査は、全労働者のわずか5%でしかありません。

 定期健康診断は毎年1回受けている方がほとんどで、その中の血液検査項目に肝機能が含まれていても、肝炎ウイルスの項目がないためです。

 2つのうち、C型肝炎は成人になってからの感染はまずありません。検査は一生に一度で十分ですから、入社時や5歳刻みの血液検査の項目に、同意を得た上で肝炎ウイルスの項目を追加するのが簡単でしょう。

【連載】Dr.中川 がんサバイバーの知恵

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃