ソーシャルワーカーの“つなぎ役”の役割が重要なのはなぜか
それを受けたリハビリチームは、その希望に対して、リハビリ治療によって何ができるようになるのか、どの部分は改善が難しいのかといった評価を返答します。
患者さんや家族の希望と、リハビリ治療によって望める成果がマッチすれば、それを“ゴール”に設定してリハビリ計画を立て、自宅退院後に継続する生活メニューも組んでいきます。しかし、患者さんや家族の希望が高すぎて、マッチしないケースも少なくありません。
たとえば、重度の麻痺が残ってしまった患者さんが「麻痺を治してほしい」と希望されても、医学的には不可能と判断できる……そのように患者さん本人や家族の要求が高すぎる場合は、ソーシャルワーカーが治療チームの評価をきちんと伝え、医師とともに患者さんや家族が望む“ゴール”をすり合わせなければなりません。
もちろん、患者さんや家族が、完全に回復して元の生活に戻りたいと希望される気持ちは十分に理解できます。しかし、どれだけ最高のリハビリ治療を行っても、脳の状態や病状によって回復が難しいケースはたくさんあります。患者さんや家族がそのような現実を受け入れられない場合は数カ月、いや、年単位という時間をかけて受け止めてもらえるように努めます。リハビリ治療を開始して最初の1カ月ぐらいは難しくても、2カ月、3カ月と経過していくうちに、だんだんと困難な状況がわかってきて、「もう回復の度合いはここが限界なので、今の状態をどう受け止めて生活していくか」という考え方にシフトしていくケースも少なくありません。