「がん」「アレルギー」「不妊」の急増は人類長寿化の裏返しか
■進化に伴うトレードオフの結果
その一方で、二足歩行や脳の巨大化は女性の胎盤の扁平化と分娩時の苦痛をもたらし、母体と胎児の死亡率を高めた。さらに女性は生殖活動を早めに終えることで母体を守るために、他の動物にない閉経を獲得した。
「病気を進化論の立場で考える医学を『ダーウィン医学』と呼びます。人類が生存するうえで獲得した形質の副作用が病気だとの考え方です。腰痛は二足歩行の副作用で生じた病気であり、脳卒中は急激な脳の巨大化に脳の血管の発達がついていけずに血管の壁が非常に薄くなったせいと考えられます」
高血圧(人類は魚類の血圧の約7倍、両生類の4倍。陸上での重力に負けないため)、萎縮性胃炎(細菌との共生の代償として)なども人類の進化におけるトレードオフの結果と考えられる。
では、ダーウィン医学の立場からみると、この100年間に急増したがん、自己免疫疾患(アレルギー)、不妊症、認知症などの病気は人類の長寿に向けた進化の代償と言えるのではないか?