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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

食道がんは胸腔鏡下手術なら後遺症が軽い…国立がん研究センターなどが発表

公開日: 更新日:

 研究グループは今回、開胸手術と比較。胸腔鏡下手術の治療成績が劣らないことを証明しました。それによると、3年生存率は胸腔鏡下手術が82.0%、開胸手術が70.9%。一方、術後3カ月の呼吸機能低下は胸腔鏡下手術が9.7%、開胸手術が12.5%でした。胸腔鏡下手術の治療成績は開胸手術に劣らず、術後の合併症はより少ないことから、今後、標準治療の選択肢になると思われます。

 ただし、胸腔鏡下手術は極めて高度な技術が必要で、受けられる施設は限られます。患者さんにとって医療機関へのアクセスがよくないのは、課題でしょう。何よりどんなに肉体的な負担が軽いといっても、食道と胃を切除し、食道の機能が失われるため、食べたものがすぐに小腸に流れ込むことによるダンピング症候群は高頻度で起こります。

 その点で食道や胃を切除することなく、それらの機能を温存できる化学放射線療法は今後も有望でしょう。化学放射線療法は開胸手術と同等の治療成績です。現在、胸腔鏡下手術との無作為化試験はありませんが、この新しい術式とも同等と推論できます。

 厚労省の資料によると、今年のがんの3大治療を1とすると、2050年は手術は11%減少、放射線と抗がん剤はじめ薬物療法はそれぞれ38%、24%上昇するとしています。欧米では臓器の機能を温存する治療が中心ですから、日本も遅まきながらそのトレンドになるのかもしれません。

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