入院生活で一番つらいのは「食事」…多くの患者がそう答える
笑いは心の癒やしになるだけでなく、NK細胞(がん細胞やウイルス感染細胞を攻撃する働きをもつ免疫細胞)の活性化を促すことが知られており、医学的にも良い効果が期待できるのです。
ある高齢の男性患者さんは、腹膜炎の影響で腸の動きが悪く、イレウス(腸閉塞)を繰り返していたため、チューブを挿入して自宅で療養していました。本来であれば入院も検討されましたが、ご本人が「家で過ごしたい」と強く望み、ご家族も献身的に支えた結果、自宅療養を選ばれました。すると、しばらくして、ゼリーのようなやわらかい食べ物なら少しずつ口から食べられるようになったのです。歩くことは難しいため、食事の時間になると家族がベッドを囲み、介助しながら一緒に食卓を囲みます。互いに食べる姿を見守り合いながら、にこやかに過ごすその光景は、とても印象的でした。
もちろん、自宅では病院や施設のようにミキサー食を用意するのは簡単ではありません。そのため多くの患者さんは、アイスやゼリーなどのデザート、レトルトのスープや栄養補助食品を取り入れて工夫しています。
こうした食の工夫や家族との関わりによって、自宅での療養は患者さんにとって「苦しい時間」ではなく「心安らぐ時間」となり、より快適な療養環境へと変わっていくのです。