(1)インスリン治療は最終治療ではない…100人に1人は寛解
インスリン治療は、血糖値を安定させ、合併症の予防や生活の質の向上に大きく貢献する重要な治療法です。にもかかわらず、「注射は怖い」「治療が進んでしまった証拠」「もう助からないから治療しても無駄」といった誤解から、インスリン治療に対して抵抗を感じる人も少なくありません。
しかし、インスリン治療が必要となった人でも、早期に正しく向き合えば、糖尿病のない人と同じ「寿命」「生活の質」の実現が可能になっています。飲み薬だけの治療に戻したり、きわめてまれですが薬なしの生活も可能です。
実際、新潟大学医学部の研究チームが全国の糖尿病専門施設に通院中の4.8万人の2型糖尿病の人を分析したところ、血糖値が正常近くまで戻り、薬が不要となる状態(寛解)となる人が100人に1人いることを報告しているのです。
だからこそ、インスリン治療の正しい理解とその重要性を知ることが大切なのです。糖尿病と向き合うには、早期発見と適切な治療、そして正しい情報が欠かせません。インスリン治療は、決して「最後の手段」ではなく、健康な未来への大切な一歩なのです。
(糖尿病専門医/しんクリニック院長・辛浩基)


















