著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

「デフォルトの設定」によって意思決定は変わってくる

公開日: 更新日:

 この実験は、ヨーロッパ各国の人々を対象に行われたのですが、ジョンソンとゴールドスタインは、アメリカ人を対象とした実験をオンラインでも行っています。先ほど同様に臓器提供をテーマに調査をし、今回は以下の3つの質問を用意しました。

①あなたは臓器を提供しませんが、もし提供したいなら変更してください

②あなたは臓器を提供しますが、もし提供したくないなら変更してください

③「臓器を提供しますか、しませんか」

 すると、①は臓器提供に同意する人が42%。②は、臓器提供に同意する人が82%。③は、臓器提供に同意する人が79%という結果になったといいます。この実験でも、デフォルトが「提供する」になっていると、同意する人が約2倍に増えることが分かったのです。

 あらかじめ選ばれている選択肢(デフォルト)がどうなっているかが、私たちの行動にとても大きな影響を与えるということ。ジョンソンは、「臓器提供のように、多くの人が『どちらでもいい』『考えるのが面倒』と感じるような難しい選択では、特にこのデフォルトの効果が強く表れる」とも付言しています。

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