(13)「がん」は夜に成長するのか? 体内時計とがん細胞の意外な関係
がん細胞にも、体内時計を構成する遺伝子の働きが関係している。2025年に学術誌「ネイチャー・キャンサー」に掲載された総説は、体内時計が細胞周期やDNA修復、代謝、免疫など、がんに関わる幅広い仕組みと結びついていることを整理している。
体内時計のリズムが変われば、細胞が分裂するタイミングや、傷ついたDNAを修復する仕組みに影響する可能性がある。免疫細胞の活動や、がん細胞を見つけて攻撃する働きにも時間帯による変化がある。また、ホルモンや代謝、腫瘍周囲の血管や炎症の状態も、がんを取り巻く環境に関係する。
がん細胞の体内時計が乱れると、細胞の増殖や薬への反応に影響する可能性がある。さらに、がん細胞だけでなく、周囲の免疫細胞、血管、炎症に関わる細胞にも体内時計がある。こうした細胞同士の相互作用も、腫瘍の環境を左右すると考えられている。ただし、時計の乱れが必ずがんを進行させるわけではなく、がんの種類や遺伝子の変化によって影響は異なる。体内時計を整えれば、がんが小さくなるといった単純な関係も確認されていない。
重要なのは、体内時計の働きが、がんの種類や進行段階によって異なることだ。時計に関わる仕組みが、ある状況ではがんを抑える方向に働く一方、別の状況ではがんの生存や増殖を助ける可能性もある。細胞や動物を使った実験で得られた結果が、そのまま人間のがんに当てはまるとは限らない。


















